小さなパッチワーク
”チャレンジこそ生命力です。ごみのような小物を作るのはやめましょう。そういうものは消えてなくなるものです。あるいは捨てられる運命が待っています。大きなキルトをポイと捨てる人はいませんが、小物をざーっと捨てても心を痛める人はいないと思います”
私のお気に入りの本、文化出版局の、小林恵著『愛の遺産-アメリカの手作り 手にハートを』のあとがきで、小林恵さんは、このようにキルターに向かって言っていたことを謝っていました。
”阪神大震災で、サラエボの紛争で、命からがら生き延びた人たちが大切にしていたものは、1枚の写真だったり、ポケットにいれられた思い出の品でした。ショックを受けたと言うか価値観について厳粛な気持になりました”
私もかつては、「大きいものしか創りたくない!」といって教室での小物作りや仕事で提案する小物のサンプル作りも抵抗があったころに出あった本。
昨日、ワークショップの準備中に出た布の切り落としで、ちょっと息抜きにコースターなどを作ってみました。
接着綿にドンドン布を並べて、アイロンでジュッとして、ざっとミシンをかけただけの簡単なものですが、やけに愛おしく思えてきます。
”手に心を入れれば、物の大小の問題ではない”と続けている小林恵さんの言葉を思い出したので、久しぶりに本を引っ張り出してみて、ちょっとパッチワークに心が戻った朝。
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コメント
以前、ヴォーグにパッチワーク講座を受けに通っていた時に、講師の先生に「小物は消耗品です。どんなに頑張って作ってもいずれ使い古されて無くなってしまいます。大きな作品を作りなさい。」と言われた言葉が今も時々思い起こされます。
私が作るものは大きくないものが多いので、いつも心の隅っこで罪悪感に似たものを感じていました。
でも生活の中でいとおしいと思い、楽しむ気持ちが、小さな作品に長い命を与えるのだと思えるのですよ。
kazueさんの作品は透明感があってきれいでパワフルで大きくても小さくても私大好きです。
小林恵さんの本は私も大好きです。
間違いに気づいた時きちんと訂正なさるそんな姿勢が素敵です。
投稿: パリっ子 | 2009年6月 9日 (火) 11時27分
>パリっ子さん
・・・と、半世紀も生きてると見えてくるものがあるんですわ

ありがとう
これからもお互いに手に心を・・・
不要なものにまでカバーを作ったりする時代も過ぎ去って、今は丁度いい手作りの時代が来たのかもしれませんね
パリっ子さんの言葉もとても心強く受け止めました
投稿: kazue | 2009年6月 9日 (火) 16時38分
形あるものはいずれ壊れる、無くなる。娘が神戸の震災にあったとき生命以外に大事なものなんてなにも無いと思った。生きてさえいれば 何でもできる。モノを作る楽しさを経験してさえいればいつでも 又作り始められる、と。
モノを作る喜び 楽しさを味わえるというのは幸せなことだと思う、今日この頃。
投稿: JUN | 2009年6月 9日 (火) 18時06分
>JUNさん
確かにそうですね。仕事をしている頃、お店に震災にあって仮設住宅に住む方から電話があり、その頃の悲惨な状況を聞いて、私のストックの中から生地や糸や本など贈ったことがありました。今でもパッチワークをしてるかなぁ・・・?久々に思い出しました。
投稿: kazue | 2009年6月 9日 (火) 20時06分
皆さんのコメントも含めてウルウルと心にジ~ンときました。小物作りしか出来ない私にはとっても嬉しい!
投稿: S姉さん | 2009年6月 9日 (火) 23時07分
>S姉さん
はい、私も皆さんからのコメントで心強く思います。
それにしても、姉さん、PCに向かう時間がある、ゆとりのマンハッタン生活ですねぇ
投稿: kazue | 2009年6月10日 (水) 06時06分